2021-08-21 タイピング練習 ああ、これが二十以来、かたときも忘れることのなかった故郷であろうか。 私の覚えている故郷は、まるでこんなふうではなかった。私の故郷は、もっとずっとよかった。 そのうつくしを思い浮かべ、その長所を言葉にあらわそうとすると、しかし、その影 はかきけされ、言葉は失われてしまう。やはりこんなふうだったかもしれないという気がしてくる。 そこで私は、こうじぶんに言い聞かせた。もともと故郷はこんなふうなのだ 進歩もない代わりに、私が感じるような寂寥もありはしない